ミスミグループ本社様が目指す製造業の「業界DX」で
先端技術活用と高速開発を実現する「基盤刷新」と「内製体制構築」を支援

株式会社ミスミグループ本社 Gateway推進本部 様

株式会社ミスミグループ本社 Gateway推進本部 様

ポイント

・自然言語処理を扱うAI技術導入でクリック率20%増、商品探索時間18%改善を達成
・AI技術を活用するプロダクト高速開発体制を内製で構築
・オープンイノベーションでさらなる先端技術の活用を推進

お客様の声

GTC推進室 ジェネラルマネージャー代行 中田 晃一 様

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ミスミグループ本社様の「顧客時間価値:無駄を省き価値ある時間を創り出す」を
さらに進化

ミスミグループ本社様は、製造業における部品等の調達業務における、不要な作業や在庫など、数々の「無駄」を効率化し、「顧客時間価値」を創り出してきました。

流通事業で「ECプラットフォーム」を担当するGateway推進本部では、今後のさらなる効率化を実現するために「プロダクト開発体制の内製化」に着手しています。

本事例では、ミスミグループ本社様がAI技術を活用して、どのようにビジネス課題を解決しているのか、そして、それらミスミグループ本社様の課題解決の取り組みにおいて、D.Forceがどのような支援を行っているのか、について紹介します。

内製開発体制でのAI技術導入で、
クリック率20%増、商品探索時間18%改善、検索数10%増

ミスミグループ本社様では、内製での開発体制で「自然言語処理によるベクトル検索」を取り入れた結果、ECプラットフォームのクリック率20%増、商品探索時間18%改善、検索数10%増を達成しました。さらに、プロジェクト開始から6か月間で初回リリース、2年2か月間でプラットフォーム全面刷新という高速開発を実現しています。

ベクトル検索による新しい「購入体験」の提供

ECサイトでは「キーワード検索」で商品を探すのが一般的ですが、この場合、ワードが一致しないと検索が充分に機能しません。ECサイトでは、類義語や意味的に近いワードを含む商品は検索結果に表示されないため、求めている商品を探すために「より意味が近いワード」を模索し、繰り返し検索するという労力を「ユーザー」に強いることになります。

ミスミグループ本社様が取り扱う商品点数は3,000万点超。この中から「ユーザーが欲しい商品を高精度で効率的に検索できる仕組み」が求められます。

ミスミグループ本社様では、ユーザーの商品検索に費やす時間を削減し、購入体験を大幅に向上させるために「セマンティック検索(意味や意図を理解し、その解釈に基づいて関連性の高いワードや文章を検索する技術)」への切り替えを検討しました。セマンティック検索の実現に威力を発揮するのは「ベクトル検索」という技術です。「ベクトル検索」は、ECサイト内で検索ワードの意味や意図とどの程度合っているかを評価する技術で、自然言語処理(NLP)を扱う先端のAI技術を活用します。

ここで課題になったのが「開発体制」と「基盤」です。

先端AI技術を活用した高速開発のために、開発体制を内製に刷新

自然言語処理は先端のAI技術であり、ミスミグループ本社様が目指す高い目標を達成するには論文レベルの知見を得て最適化できる開発体制にする必要がありました。また、グローバルで競争力を持つには、高速開発が可能であることも必須条件の1つです。

事業企画やKPI 設計、データ活用(可視化・分析・対処のプロセス)の領域はすでに内製できており、強みとなっていたものの、プロダクト開発を外部委託する体制では構造的に高速開発を実現しにくく、且つ、先端技術を自由に導入しにくいという課題がありました。

そのため、自然言語処理をはじめとしたAI技術を導入し、革新的なプロダクトを高速に開発できるよう、「外部委託体制」から「内製体制」に切り替えることとしました。

そのために、注力したことは次の3点です。

1)リスキリング

部内のメンバーがAI、データサイエンスを学習し、「データサイエンティスト」として開発業務を担っています。外部専門家の支援を受けながらも開発と運用は自分たちで実行するため、「自分ごと」として開発に関わるよう意識改革するとともに、メンバーが「自由に発言や行動ができる」フラットな組織運営で心理的安全性を高めることで、高速開発を実現しています。

2)エンジニア採用の強化

高いパフォーマンスを発揮するAIモデルの開発に不可欠なデータサイエンティストやAIエンジニア、プロジェクト管理者などの採用を強化しています。

3)外部専門機関とのオープンイノベーションの積極促進

自社社内だけで網羅することが難しい専門知識を補うために、AIスタートアップやアカデミアとのオープンイノベーションに積極的に取り組んでいます。

開発のさらなる高速化とパフォーマンス向上のために、基盤を刷新

開発に着手した当時は、自然言語処理の開発基盤はまだ充実しているとは言えない状態でしたが、この領域では技術が急速に進展し、開発生産性を高めた基盤管理やMLOpsの自動化を進めやすい「AIプラットフォーム」がいくつか登場していました。

初回リリース後、開発のさらなる高速化とパフォーマンスの向上を目的として基盤刷新に着手しました。当時の主要なAIプラットフォームを比較評価した結果、Google Cloudの「Vertex AI ベクトル検索」を選定し、約半年で基盤の主要部分をすべて刷新してアプリケーションの多くも改善しながら移行しました。

その結果、開発生産性を高めながら処理能力(単位時間当たりトランザクション数)を300%向上させることに成功しました。

ミスミグループ本社様にとって、初めて触れるAIプラットフォームを比較評価して、Google Cloudを本番環境で利用するという初めてづくしの経験でしたが、内製開発組織が主導して、外部専門家の助力を得ながら移行を無事完遂することができました。

D.Forceが「内製体制成熟化」から「基盤刷新」まで伴走支援

ここからは、ミスミグループ本社様の課題解決の取り組みにおいて、D.Forceが具体的に行っている支援の内容について紹介します。

D.Forceでは、ミスミグループ本社様の「内製体制の成熟化」と「基盤刷新」を伴走支援しています。主役となるのはミスミグループ本社様の「内製開発組織」。D.Forceは彼らに伴走しながら、組織課題から技術課題までの多岐にわたる課題の解決を支援しています。

1)オープンイノベーションやパートナー調達のサポート

大企業の先端技術を扱う内製体制の構築支援においては、専門能力が高い少数精鋭のエンジニア組織を築いてきたD.Force自身の経験を活かしています。多様な組織課題解決の助言をしていますが、ここでは「オープンイノベーションやパートナー調達のサポート」を紹介します。

D.Forceは、ミスミグループ本社様が新たな知見やノウハウを最短の時間・プロセスで獲得し、開発に活用できるよう、AIスタートアップのリサーチ・選定を支援しています。開発プロジェクトに必要な知見を持っている、もしくは、中長期的な事業目標にフィットし、パートナーとなり得る企業の探索から、協業先の評価・提案から関係構築のフォローアップまで一気通貫でサポートしています。

この取り組みの結果、AI研究・開発、システム構築、運用に渡って6社のパートナーを獲得するという実績を達成することができました。

D.Forceでは、中立性を保ち、「お客様の利益」を追求することを徹底しています。特定の企業や製品、サービスに偏ることはなく、中立的な視点と姿勢で「お客様の事業目的に最もフィットする助言」を行っています。

2)基盤刷新のサポート

基盤刷新の核となるAIプラットフォームについて、「情報収集」はミスミグループ本社様が主体となって行い、D.Forceはその「選定」の進行を支援しました。

また、D.Forceは、豊富なナレッジや経験を活かして、基盤刷新プロジェクトの各所で発生し、進行を妨げる様々な「壁」における問題解決を支援し、プロジェクトの迅速かつ円滑な推進に貢献しました。

基盤刷新後も、グローバル展開や継続的な基盤改善、安定運用を支えるためにSRE/DBRE*と呼ばれる運用スタイルを導入し、アジリティが高く高品質なシステム運用の定着化を支援しています。

3)技術広報のサポート

あらゆる企業で「データ活用DX」への取り組みが急速に進められるなか、「データ」を扱うことができるエンジニア人材の需要が急増しています。「データ人材」はそもそも絶対数が少なく希少であり、そこには大きな需給ギャップが発生しています。

つまり、「採用ブランディング」に注力し、必要な人材に対して、自社の魅力を伝え、入社意欲を高めることに成功している企業でなければ、即戦力人材を必要なときに、必要な数を、円滑に採用するのが難しいというのが現状です。

D.Forceでは、内製体制構築をより円滑に、スピーディに推進するために不可欠な「技術広報」の支援を行っています。

採用難度の高い即戦力の「データサイエンティスト」や「AIエンジニア」の方々に対して、ミスミグループ本社様の仕事の魅力を伝える「情報発信」を支援しています。D.Forceが培ってきたメディアを介した情報発信力と高スキルエンジニアへの訴求ノウハウを活かして、より効果の高い取り組みを提案し、積極的かつ継続的に実施するサポートをしています。

D.Forceは、社会課題の解決にチャレンジし続ける
ミスミグループ本社様の「業界DX」の成長をサポートし続けます

ミスミグループ本社様は、先端技術をプロダクトに実装して、インダストリアル・オートメーション産業に革新をもたらす「業界のDX」で、人口減少、技能継承といった社会課題の解決にチャレンジし続けています。

Gateway推進本部では、さらなる「顧客時間価値の創出」に向けて、いくつもの研究・開発プロジェクトが進行中です。ベクトル検索モデルの精度向上やマルチモーダル対応といった、これまでの延長線上の改善に加え、将来的には、世界でも未開拓のIA業界では唯一の領域を作り出すような、あっと驚くようなイノベーションを起こすものと確信しています。

D.Forceは、ミスミグループ本社様が、より効率的に、スピーディに、イノベーションを生み出し続けるよう、データマネジメント、および、データベースの専門家ならでは力を発揮し、成長を支え続けていきます。

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